皆さんこんにちは。
以前のコラム(2023年8月)にて、薬の副作用について取り上げました。
しかし一概に「副作用」といっても、発生するタイミングや症状はさまざまで、いくつかの種類に分類することが出来ます。
今回のコラムでは、この副作用の種類についてお話しさせていただこうと思います。
1. 副作用の定義・種類について
薬には、病気を治すための主作用がある一方で、体にとって望ましくない別の作用が起こることがあります。これを「副作用」といいます。この副作用には、発生する機序によって大きく3つに分類されます。
次の項から、それぞれの副作用について解説させていただきます。
2-1. 薬理作用に基づく副作用
前述のように、薬には体内で期待される働き(=主作用)があります。
例えば、血圧を下げる薬を飲めば、血圧を下げる作用が発揮されます。しかしこの際、血圧を下げる作用が過剰に発揮されたことで、低血圧に伴うふらつき症状が現れてしまうことがあるため、注意をしなければいけません。
他にも、副次的な作用によって起こる副作用もあります。
一例を挙げると、血圧を下げる薬の中にACE阻害薬と呼ばれる種類があります。この薬には血圧を下げる作用の他に、空咳が出やすくなるという作用もあります。
本来期待する作用(血圧を下げる)ではなく、副次的な作用(空咳が出る)にも注意を払わなければいけません。
このような副作用は、「薬理作用に基づく副作用」に分類されます。
※ ACE阻害薬による空咳については、こちらもご参照ください。
2-2. 薬物毒性に基づく副作用
同じ薬を長期間飲み続けていると、体に負担がかかり体調変化をきたしてしまう可能性があります。これを「薬物毒性による副作用」といいます。
特に肝臓と腎臓は、それぞれ薬の代謝と排泄に関わる臓器ですので、薬物毒性が起こりやすいところです。服用を始めた段階で起こる可能性は低いですが、服用期間が長いほど、高用量であるほど起こる可能性が高まります。
そのため、継続して服用している患者さんに服薬指導する際は、「血液検査を実施していますか?」「数値に変化はありませんか?」などと定期的に確認して副作用を見逃さないことが大切です。
2-3. 薬物過敏症に基づく副作用
薬物過敏症とは、すなわちアレルギー反応のことを言います。そのため、どの薬でどのような症状が出るかは個人差があります。
薬理作用や薬物毒性による副作用は、発生しても様子を見るなど服用を中止しない場合がありますが、薬物過敏症の場合は発生したら直ちに中止する必要があります。
起こる頻度としては高くありませんが、事前チェックや予防などが難しいものになります。また、服用して数時間以内に起こる「即時型アレルギー」と、2週間ほど経過してから起こる「遅延型アレルギー」がありますので、患者さんの症状経過をしっかり確認することが大切です。
3. おわりに
発生する機序によって副作用を理解出来ていれば、患者さんへの説明にも幅を広げられるようになります。
例えば、肝機能障害が起こっている患者さんがいらした際、これが薬物毒性による副作用なのか?はたまた薬物過敏症による副作用なのか?
「いつ頃からその症状が現れましたか?」など判断材料としてどのような聞き取りをして、速やかに医師へ疑義照会・情報提供することで、未然に重篤な副作用を防ぐことが出来ます。
薬剤師として適切な服薬指導をするため、主作用はもちろんですが、副作用についてもしっかり学んでいきましょう。
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