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薬は怖くない!リスクを理解して正しく服用しよう (2023年8月)

私たちは、薬のおかげで生活を送りやすくなるよう助けられています。

しかし、薬を服用することで本来の作用とは別に、有害で意図しない反応として副作用が現れてしまう恐れがあります。身近な例を挙げると、風邪薬に含まれる鼻水を抑える効果を持つ成分により、眠気が出てしまうことがあります。これも副作用です。

今回はこの副作用について、さまざまな視点から解説させていただこうと思います。

1. はじめに


まず、今回このようなコラムを執筆するきっかけとなった体験について、述べさせていただきます。

 

普段私が勤務している店舗にて、とある患者さんとお話をする機会がありました。

その患者さんは、めまいや耳鳴りといった症状があり、薬が処方されていました。その後再度来局された際に、「薬を飲んで症状は良くなりましたか?」と伺ったところ、「副作用が怖くて、薬は飲まなかった。めまいや耳鳴りも良くならず続いている。」と返答がありました。

 

普段から薬を取り扱っている私たち薬剤師にとっても、「薬の副作用が怖い」と思う気持ちはよく分かります。ですが、せっかく病院を受診されて、医師にその病状に合った薬を処方してもらったのに、結局その薬を飲まずに良くならないというのは、非常に勿体ない話です。

この患者さんは、薬のリスクを正しく理解しておらず、闇雲に恐れてしまっている状態です。症状を改善するためには、薬のリスクまで正しく理解して、しっかり向き合うことが大切になります。

2. 副作用の現れ方は人それぞれ


大前提として、薬を使う以上副作用の存在は避けては通れません。ただし、人・薬によって副作用の有無・大小はさまざまです。

添付文書(いわゆる薬の説明書)には、1つの薬だけでさまざまな副作用があげられています。世界中から薬との因果関係を否定できないものは全て副作用として報告され、極めて可能性が低いものも記載されています。

また、仮に副作用が起きたとしても、正しく対処すれば決して恐ろしいものではありません。

軽度で日常生活に支障が出ないものであれば、あえて服用を中止せずに飲み続けることの方が、その患者さんにとって有益となることもあります。

万が一副作用の兆候が見られた際も、すぐに連絡・相談していただければ、取るべき対処法を説明してもらい、未然に重篤な副作用を防ぐことが出来ます。病院が休診だったり、敷居が高くて問い合わせしづらかったりしたら、薬の説明書や袋に記載されている薬局へ問い合わせてみてください。薬のプロフェッショナルとして、薬剤師から親身になって回答してもらえると思います。

3. 副作用をなくすことは出来ない


前項にて「副作用の有無・大小はさまざま」と述べたように、どんな薬であっても副作用の可能性はゼロではありません。実際のところ、薬を飲むまで副作用が出るかどうか分からない、というのがほとんどです。

こういうと「やっぱり副作用が怖くて、薬は信用出来ない」と思う方が出てくるかもしれませんが、このような話は薬に限ったものではありません。日常にもあふれていますので、少し視点を変えて考えてみたいと思います。

 

ほとんどの方が、普段から車や電車、飛行機等の乗り物を利用されているかと思います。あまり想像したくはありませんが、こういった乗り物も事故を起こしてしまう可能性がある、というのはご理解いただけるかと思います。

もちろん、各会社は事故を起こさないように最大限の努力をしています。しかし、あくまでも出来ることは事故の確率を下げていくことであり、確率をゼロにすることは出来ません。

 

薬についても、製薬会社の方々が患者さんのため思って日々研究に取り組んでいます。ですが、副作用をゼロにすることは出来ませんので、医師・薬剤師は懇切丁寧に説明して、そのリスクを最大限抑えるように努めています。

4. 薬局薬剤師が出来ること


それでは最後に、副作用のリスクを回避するために薬局薬剤師が心がけていることを紹介します。

 

まず第一に、副作用歴・併用薬の確認が挙げられます。

「過去に○○という薬を飲んで副作用が出たことがある」という患者さんが、その旨を病院で医師に伝えそびれてしまい、○○という薬が処方されてしまうことがあります。薬剤師がその副作用歴を確認出来れば、医師に疑義照会をかけて処方内容を再検討してもらい副作用を未然に防ぐことが出来ます。

また、併用薬が似た成分の薬であったり、相互作用に問題のあったりすることがあります。そのためにもお薬手帳やマイナ保険証で、併用薬を確認させていただいています。

 

次に合併症・既往歴の確認も重要です。

例えば、前立腺肥大症や緑内障の患者さんが抗コリン作用を有する薬を服用すると、症状が悪化してしまう恐れがあります。これを回避するためにも、充分なヒアリングを行ったり、併用薬から合併症を推察することが重要です。

 

それ以外にも、年齢体重、高齢者であれば腎機能等に注意して薬の減量を提案するなど、多角的な視点で患者さんの安全を守っています。

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コメント: 1
  • #1

    梅田邦彦 (水曜日, 16 8月 2023 04:38)

    ところで、社長は薬剤師なの?