皆さんこんにちは。以前のコラム(2023年2月)にて、薬の種類・特徴について解説させていただきました。その際は内服薬をメインに解説しましたが、今回は「Part2」と銘打って外用薬の種類・特徴についてお話しさせていただきたいと思います。皆さんどうぞ最後までお付き合いください。
1. 内服薬と外用薬
まずは内服薬と外用薬の分類について、おさらいしたいと思います。
内服薬は口から服用していや小腸で溶解し、吸収されて全身に作用する薬です。一方外用薬は皮膚や粘膜などの身体の表面から吸収される薬のことを指します。
トローチやうがい薬などは口に入れるので内服薬と思われがちですが、外用薬に分類されます。これらは小腸で吸収されるのではなく、口内や喉の粘膜に作用するためです。
それでは次項から、外用薬の分類ごとに解説していきます。
2-1. 軟膏剤・クリーム剤・ローション剤
一般的に「塗り薬」と呼称されている薬です。塗り心地や肌への刺激などにより使い分けられています。
軟膏剤はワセリンなどの油性基剤に薬が含まれており、肌への刺激が弱く、乾燥している部分やジュクジュクした部分にも使うことが出来ます。反面、肌へのベタつきが強いため、塗り心地が良くないと感じるかもしれません。
クリーム剤は水と油を混ぜて乳化したものに薬が含まれます。軟膏剤とは対照的に肌への刺激が強く、傷やジュクジュクした部位には適していません。ただし伸びが良くベタつきも少ないので、その使用感を好む方もいらっしゃいます。
ローション剤は水やアルコールに薬が含まれます。クリーム剤より更にベタつきにくく、液状である性質を活かして頭皮や爪など軟膏剤・クリーム剤で塗りにくい部位にも使いやすいものです。ただし流れやすく持続時間が短かったり、やはり刺激感があるものでジュクジュクした部位には適していません。
2-2. テープ剤・パップ剤
一般的に「湿布」「貼り薬」と呼ばれる薬です。こちらも、貼り心地や刺激感により使い分けされています。
テープ剤は粘着性が高く、剥がれにくいという特徴があります。そのため、肘や膝などのよく動かす関節部分に適しています。ただし粘着力が強いだけあり肌への刺激が強いため、かぶれや痒みを起こしやすい点には注意が必要です。
パップ剤は粘着性が低く肌への刺激が弱いため、かぶれを起こしにくい製剤です。しかし剥がれやすくなっているため、肘・膝などのよく動かす部分よりも肩・腰などの動きの少ない部分に適しています。
またこれらには冷たく感じる冷感タイプと、温かく感じる温感タイプというものがあります。
冷感タイプは冷たさで鎮痛・抗炎症作用が得られるので、捻挫や打撲などの急性の痛みに効果的です。
温感タイプは温めて血液循環改善・新陳代謝促進効果が得られるので、腰痛・肩こりなどの慢性的な痛みに効果的です。ただしこの温感タイプにはトウガラシエキスなどが使われており、肌への刺激が強くなってヒリヒリ痛むことがあるので、入浴30分前には剥がすようにしましょう。
2-3. 点眼薬
点眼薬にもいくつかの種類があり、複数の点眼薬を使用する際の順番に関係していきます。
基本的には目の中における吸収速度が早いものから先に点眼していきます。また、続けて使用する間隔として5分以上空けることが推奨されています。
- 最初に使用するものは水溶性点眼液です。最もスタンダードな製剤で、点眼薬の多くはこれに該当します。
- 次に使用するのが懸濁性点眼液です。水に溶けにくく吸収が遅い特徴があり、点眼前に容器をよく振る必要があります。
- ゲル化点眼液は使用時こそ液体ですが、点眼後に涙や体温に反応してゲル状に変化し、滞留時間が延びる特徴があり、他の点眼薬を使用する場合は前後10分以上空ける必要があります。
- 眼軟膏は下まぶたの内側に塗り、目を閉じたら溶けて全体に馴染んでいきます。水を弾くので、一番最後に使用します。
※ この他にも油性点眼液という製剤も存在しますが、現在販売されているものはありません。
3. おわりに
内服薬のコラムから繰返しになりますが、薬に様々な剤形があるのは、それぞれに意味があるということです。これをお読みいただいた皆さんに改めて実感していただければ幸いです。
2回に渡って剤形の種類・特徴について解説していきましたが、それでも一部に過ぎません。世の中にはまだまだ多くの薬が存在しているので、より深く調べてみてはいかがでしょうか。
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