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薬にも色々ある!剤形の種類・特徴について学ぼう 〜Part1〜 (2023年2月)

皆さんこんにちは。広報委員会の市瀬と申します。

 

私たちの生活は、薬に助けられていることが多くあります。

風邪を引いた時は解熱剤や咳止め等で治療し、高血圧や糖尿病など生活習慣病に対しては降圧剤や血糖降下薬により症状をコントロールしています。また頭痛を頻繁に起こす、胃を悪くしやすいという人も、鎮痛薬や胃腸薬によって快適な暮らしを送ることが出来ます。

このように、様々な症状に合わせてそれに適した薬を使い分けていますが、薬の形、すなわち剤形も色々な種類のものが存在します。今回はその薬の剤形について、解説させていただきます。

1. 剤形の分類


薬を大別すると、内服薬外用薬注射薬に分けられます。

 

内服薬とは、口から服用して胃や小腸で溶解・吸収され、全身に作用する薬のことです。市販されている風邪薬や胃腸薬など、様々な場面で使われている薬で、薬と聞くといわゆる内服薬をイメージする方も多くいるのではないでしょうか。

 

外用薬とは、皮膚や粘膜(眼、鼻など)などの体の表面から薬を吸収させることを目的とした薬をいいます。外用薬と聞くとピンとこない方も、湿布薬や塗り薬、目薬など身近なところでよく見ている・使用しているかと思います。

 

注射薬とは、注射針を使い直接血管や筋肉などに直接注入する薬です。効き目が早く、効果が強いなどの特徴がありますが、清潔にしないと感染症の恐れがあるなど、使用には注意が必要です。

 

今回は、内服薬の分類について解説して参ります。

2-1. 錠剤


薬の有効成分、添加物の粉末を圧力などにより固めたものを錠剤といいます。皆さんが想像する「薬」と言ったら、錠剤が真っ先にイメージされるかもしれません。

近年は、表面を等でコーティングすることで薬の味を感じにくくしている糖衣錠や、口の中に入れると唾液で溶ける口腔内崩壊錠(OD錠)など、より飲みやすくする工夫が施された錠剤のタイプも存在します。

また徐放錠といって、有効成分が徐々に溶け出し効果が長続きするように加工されたものもあります。服用回数を減らしたり、急に血中濃度が上がるのを防いで副作用を防止したりするメリットがありますが、逆にいうと安全に服用いただくために、噛み砕いて服用しないようにしっかり指導しなくてはいけません。

2-2. カプセル剤


粉末状、液状の薬をカプセルに詰めたものがカプセル剤です。錠剤と並んで、広く使われておりポピュラーな剤形といえます。

カプセル剤の大きな特徴として、大きさや溶けやすさが異なる薬をひとまとめにして飲むことが出来る、という点が挙げられます。また、錠剤より製造工程が少なく開発期間が短縮出来る、という製薬におけるメリットも存在します。

一方デメリットとして、カプセルはゼラチンで出来ているため、喉や食道にくっついてしまうことがあります。カプセル剤を服用する際は、多めの水で飲むように注意・指導しましょう。また、錠剤のように薬を圧縮しないため大きくて、お子さんやお年寄りの方の中は飲みにくいという方もいらっしゃるかもしれません。

2-3. 散剤・細粒・顆粒剤


一般的に「粉薬」と呼ばれているものが、散剤細粒顆粒剤に分類されます。

サラサラの粉状になっているのが散剤と細粒、一つ一つの粒が大きく設計されているのが顆粒剤というとイメージしやすいかもしれません。これらの大きさについては日本薬局方で定義されており、散剤<細粒<顆粒剤となります。

錠剤、カプセル剤の服用が難しい小さなお子さんや、嚥下機能が低下した高齢者に適した剤形となっています。また、年齢・体重に応じて薬の量を調整しやすいというのも、大きなメリットです。

ただしむせやすかったり、苦味を隠せなかったりして服用が苦手という方もいらっしゃいます。オブラートを使用してもらったり、相性の良い飲み物に混ぜてもらったりして服用してもらうなど、薬によって効果的な服用方法を覚えておき、指導に活かせるようにしましょう。

2-4. 内用液剤・シロップ剤


液体状の薬に、内用液剤シロップ剤が挙げられます。

内用液剤は薬を水などで溶解して作られたものです。シロップ剤は白糖や甘味料が加えられて甘味が強いため、薬を嫌がるお子さんでも飲みやすいものとなっています。

また散剤と同様に、薬の量を調整しやすいので年齢・体重に応じて使用することが出来ます。

反面、錠剤や散剤などと比べると保存出来る期間が短く、携帯にも不向きといったデメリットもあります。

 

3. おわりに 〜剤形があるのには意味がある〜


今回は内服薬の剤形について説明させていただきました。

このコラムを通じて皆さんに感じてもらいたいことは、薬に様々な剤形があるのは、それぞれに意味があるということです。意味がないものは存在し得ません。それぞれの剤形にある特徴や利点を活かし、患者さん1人1人に応じて適切な薬・剤形を選択することが、薬物治療において重要なこととなります。

これを機に、普段触れている薬の種類について興味を持っていただければ幸いです。