皆さんこんにちは。広報委員会の市瀬と申します。
今回のあすかコラムは、生活習慣病について取り上げていきます。既に広く認知されている内容かとは思いますが、今回のコラムで改めて理解を深めていただければ幸いです。
1. 生活習慣病とは?
生活習慣病とは、文字通り生活習慣が原因で発症する病気のことを指します。ここでいう生活習慣とは、食生活や運動習慣、睡眠状況やストレスなど様々なものが存在します。
生活習慣病の特徴として、初期段階では目立った自覚症状がないということがあります。だからといって病気を放置していると、生活に支障をきたすほどの重篤な病気に発展する恐れがあります。
そのため、自覚症状はなくとも早い段階から治療をしていく必要があります。
生活習慣病には様々な種類がありますが、今回は高血圧・糖尿病・脂質異常症の3つについて説明させていただきます。
2. 高血圧
高血圧は、患者数がとても多い生活習慣病です。日本では約1200万人が適切な治療を受けていますが、治療を受けていない人やコントロール出来ていない人を含めると約4300万人もいると言われています。
塩分の過剰摂取が高血圧の原因というのは話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。これは、食塩に含まれるナトリウムが溜まってくると、血管内の浸透圧を一定に保つために水分が多く取り込まれ、結果として血管を圧迫してしまうためです。その他にも睡眠時間の不足、ストレスに伴う自律神経の乱れなども高血圧の要因とされています。
慢性的に血圧が高い状態が続くと、血管が脆くなる動脈硬化が起こり、脳梗塞や狭心症など、脳や心臓で重大な病気を引き起こすリスクが高まってしまいます。
こういった自体を未然に防ぐためにも、適度な運動、食生活の是正など生活習慣の見直しが必要になります。
食生活では、野菜や果物に含まれるカリウムの摂取が有効とされています。カリウムには、塩分(ナトリウム)の排泄を促す効果があります。
3. 糖尿病
糖尿病は、血糖値(血液中に含まれる糖分)が高くなる病気です。
糖尿病を放置すると、血糖値が高い状態が慢性化し、全身の血管を傷つけていき、様々な病気を引き起こしていきます。
その結果起こる障害の中で、「糖尿病三大合併症」と呼ばれるものを下記にお示しします。
糖尿病三大合併症 |
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糖尿病性神経障害は、高血糖によって血流が悪くなったり、神経が傷ついたりすることで起こります。
血行が悪くなることで手足の痛み・痺れといった症状をきたします。最悪の場合、足の組織が壊疽してしまい、足を切断せざるを得なくなることもあります。
糖尿病網膜症は、目の奥にある網膜に存在する血管が障害を受けて起こります。
徐々に視力が低下し、更に進行すると失明に至ります。糖尿病網膜症は、失明の原因第1位となっています。
糖尿病性腎症は、腎臓で老廃物を濾過する糸球体が傷付けられ、腎臓の働きが低下する病気です。
腎臓の機能が極端に低下してしまうと、最終的には機械で血液を濾過する人工透析が必要となってしまいます。
このように糖尿病の合併症は、いずれも日常生活に多大なる支障を及ぼす危険性を持っています。
ただし、これらは病気を放置した結果起こるものなので、ここまで進行する前に薬物治療や生活習慣の改善に取り組めば、未然に防ぐことが出来ます。
4. 脂質異常症
脂質異常症は、血液中の脂質(LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪)の濃度が異常である状態を指します。
脂質異常症を放置すると、血液中の過剰な脂質によって血管が脆くなっていき、高血圧と同じように動脈硬化を引き起こします。
その他にも、有り余った中性脂肪が肝臓に蓄積して起こる脂肪肝もあります。肝臓の機能が低下していき、肝炎や肝硬変、果ては肝臓がんまで進行することもあります。なおこの脂肪肝の原因には、脂質の摂り過ぎだけでなく過度の飲酒も挙げられます。飲酒を控えることも重要な予防策と言えるでしょう。
5. 薬剤師が出来ることは?
最後に、薬剤師として私の体験談を述べさせていただきます。
高血圧の治療薬を服用してる患者さんの服薬指導をしている際に、「特に体調は悪くないし、血圧も安定しているのに、薬は飲み続けないといけないの?」と質問されたことがありました。
先にも説明したように、生活習慣病は分かりやすい自覚症状がないため、患者さんからすると治療を続けるモチベーションが保ちにくい点があります。
また、「血圧が安定している」というのも薬剤を服用しているからであり、服用を止めたら高血圧状態になってしまう可能性があります。
これらのことをきちんと説明し、患者さんの治療に対するモチベーションを維持することも、薬剤師の大切な役割と思われます。
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