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コロナ禍における薬剤師の役割・出来ることは? (2022年2月)

皆さんこんにちは。広報委員会の市瀬と申します。

新型コロナウイルスが流行して約2年が経過しますが、未だ収束の兆しは見えない状況となっています。正直、新型コロナウイルス感染症がこれほど長期化するとは思わなかった人も多いのではないでしょうか?

第5波(2021年6〜8月)が収まり、一旦は感染者数も減少しましたが、現在(2022年1月末時点)はオミクロン株の出現により第6波に突入し、感染者数は再び増加しています。まだまだ人類と新型コロナウイルスの戦いは続いています。


そのようなコロナ禍で、私たち薬剤師に出来ること、与えられた役割にはどのようなものがあるか?今回のあすかコラムでは、そのことについて考えていきたいと思います。

1. 0410対応


0410対応とは、正式には厚生労働省より通達された「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取り扱いについて」のことを指します。2020年4月10日に通達されたことから、「0410対応」と呼ばれています。なお「時限的・特例的」とありますが、現時点で新型コロナはまだ収束していないため、継続して実施されています。

これにより、医師は初診から電話等で診察・処方することが可能となりました(※一部制限があります)。同様に、本来薬局にて行われている薬についての説明(服薬指導)も、電話等で行うことが出来るようになっています。

具体的な流れとしては、以下のようになります。


 ① 患者さんが、電話・オンラインでの服薬指導を希望する旨を医療機関に伝え、薬局を指定する。
 ② 医療機関は、処方箋備考欄に「0410対応」と記載し、指定された薬局にFAX等で送付する。
   (処方箋原本も可能なタイミングで薬局へ送付する)
 ③ 薬剤師より患者さんへ電話等で連絡を取り、 服薬指導を行う。また薬の送付先等の確認も行う。
 ④ 薬局から患者さん宅等へ薬を発送し、受領確認を行う。

 ※ 麻薬及び向精神薬を処方してはならないこと

 ※ 診療録等により当該患者の基礎疾患の情報が把握できない場合は、処方日数は7日間を上限とすること

 ※ 診療録等により当該患者の基礎疾患の情報が把握できない場合は、いわゆるハイリスク薬の処方をしてはならないこと

0410対応の大きなメリットとしては、なんといっても感染防止対策になるという点が挙げられます。

コロナに感染している患者さんが薬局に来て薬を処方してもらうということは、他の患者さんへの更なる感染に繋がりかねません。しかし0410対応であれば、薬局を介さずに薬の説明・受け渡しが可能となるため、二次感染のリスクを軽減することが出来ます。また、たとえコロナに感染していない患者さんであっても、0410対応を実施することで薬局での「密」を避けることが出来るというメリットもあります。

一方デメリットとしては、電話越しでのやりとりには限界があるという点があります。対面での情報提供であれば、患者さんの表情や仕草から現在の病状や理解度を推察することが出来ます。ですが電話となると情報源は声のみとなるので、そこから患者さんの小さな変化を推察することが難しくなりますし、普段使用しない吸入器等の使い方を説明することには限界があります。

その他にも、対面の服薬指導でしたらその場で薬を直接手渡し出来ますが、0410対応では薬を配送するので破損等のトラブルや、そもそも薬が届かないといったトラブルも起こりかねません。そのような点に細心の注意を払い、患者さんにも説明しておく必要があります。

 0410対応のメリット
  ・二次感染の防止になる。
  ・薬局内での「密」を避けることが出来る。
 0410対応のデメリット

  ・対面に比べると、電話越しのやり取りには限界がある。

  ・薬を配送する上でトラブルが起こる可能性がある。

2. 患者さんへの情報提供


私たちはテレビや新聞、インターネット等のメディアで、新型コロナウイルスに関する様々な情報を目にしています。しかし、それら全ての情報が必ずしも正しいとは限りません。正しい情報を患者さんに提供することで、過度に怖がったり誤った情報で新たなリスクを招いたりしないようにすることも、薬剤師の大切な役割となります。

これは実際にあったお話ですが、「薬は飲み切ってしまったけど、コロナが怖くて病院に行けず、しばらく薬を飲んでいなかった」という患者さんがいらっしゃいました。

患者さんの気持ちも分かりますが、持病の治療継続、健康管理をしていくことはとても大切なことです。薬を切らしたままで糖尿病や高血圧等の基礎疾患を悪化させてしまうこと自体危険なことですし、万が一新型コロナに感染した際に、ますます重症化のリスクが高まってしまう懸念があります。

「新型コロナを恐れて病院に行かない」のではなく、「マスクや消毒等の感染対策を施した上で病院に通い、薬を継続的に服用して基礎疾患をコントロールする」ことで、総合的な新型コロナ対策が出来るのです。


もちろん薬剤師もなんでも知っているという訳ではありませんので、定期的な情報収集が大切になります。

先日モルヌピラビル(販売名:ラゲブリオ®︎)という新型コロナウイルス治療薬が承認されましたが、単に「新型コロナウイルス感染症の治療薬」ということだけでなく、「流通状況は?」「副作用は?」等、多角的な情報を収集・整理し、患者さんの質問に答えられる態勢を整えておきましょう。

3. さいごに


いかがでしたでしょうか?

調剤薬局の薬剤師は、コロナ病棟で患者さんに向き合う医師や看護師の方々と比べると、出来ることが限られているかもしれません。ですが、感染を防止しながら患者さんの健康を支えるための0410対応や、誤解を招かないための正しい情報提供等の役割があります。

コロナ禍の今だからこそ、私たち薬剤師に出来ることを模索し、実行に移していけるようにしましょう。