こんにちは。広報委員の篠原です。
今月は店舗の管理責任者である「管理薬剤師」についてお伝えします。
飛鳥薬局の管理薬剤師が何に気をつけて業務を行っているのか、イメージしやすくなります。
なお、今回はコラムに関連した過去の薬剤師国家試験の問題も掲載しています。
◆管理薬剤師とは?
法律に基づき、保険薬局や医薬品を取り扱う一般販売業の店舗*、医薬品製造業の拠点ごとに1人配置することが義務づけられている店舗管理責任者のことをいいます。
*第2類医薬品又は第3類医薬品のみを販売する店舗の管理者であれば登録販売者でもなることができます。
◆薬局の何を管理しているのか?
管理薬剤師は日常の薬剤師としての業務の他に、大きく分けて3つの管理を行う責務があると考えられています。
(厚生労働省 資料「管理薬剤師の責務の内容について」を参考)
1.医薬品の管理
2.従業員の管理
3.構造・設備の管理
1.医薬品の管理
〇 医薬品の品質管理
調剤薬局では医薬品の品質を常に一定に保つために温度設定などを行って、適切な環境で医薬品の在庫管理や品質管理を行います。また、医薬品メーカーより自主回収の連絡が着た場合はその対応も行います。
第105回 薬剤師国家試験【問337】
アドレナリン自己注射用キット製剤において、使用時に針が出ないという不具合が報告され、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)より、クラスⅠの回収情報が出された。この報告を受けて、ある病院の薬剤師が該当ロットの製剤の納品履歴があるかどうかを確認したところ、6ヶ月前に1本納品されていたが、調剤済みで在庫はなかった。該当ロットの製剤の使用期限はあと9ヶ月程度残っていることが判明した。この病院がとるべき対応として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1.クラスⅠの回収であるため、今後の様子を見守る。
2.該当ロットの製剤を調剤された患者に連絡をし、未使用であれば代替品と交換する。
3.病院ホームページにおいて、該当ロットを公表し、患者からの連絡を待つ。
4.患者から該当ロットの製剤を回収し、代替品を提供し実費を請求する。
5.該当ロット以外の製剤についても、可能な限り回収する。
〇 麻薬の管理
麻薬は厳格な流通制限がされていることから、それ自体の管理や麻薬処方箋、在庫にも細心の注意を払って扱わなくてはいけません。薬局では開設者または管理薬剤師が麻薬の譲受、保管、交付等を管理する必要があります。
第98回 薬剤師国家試験【問313】
薬局における麻薬の廃棄または再使用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.薬局業務を廃止するので、不要となった麻薬を都道府県知事に届け出ることなく廃棄した。
2.在庫していた麻薬の有効期限が切れたので、都道府県知事に麻薬廃棄届を提出し、保健所職員の立会いのもとで廃棄した。
3.調剤中に破損した麻薬を管理薬剤師が薬局の他の職員の立会いの下、焼却処分した。
4.患者家族から不要となった麻薬が返却されたので、品質に問題がないことを確認して再使用した。
5.ファクシミリにより送信された麻薬処方せんの内容に基づきオキシコドン塩酸塩徐放錠を調剤したが、患者が受け取りに来なかったので、再使用した。
〇 デッドストック(処方変更があり、動かなくなってしまった医薬品)の管理
〇 一般用医薬品や衛生用品・食品等の採用決定および管理
〇 医薬品メーカーや医薬品卸の応対 など…
2.従業員の管理
薬剤師および薬剤師以外の従業員(調剤事務など)が適切に業務を行っているかどうか、監督することも管理薬剤師の仕事の1つです。円滑に店舗の運営ができるよう、従業員とのコミュニケーションを取り、働きやすい職場の環境づくりをすることも重要となります。
〇従業員の教育・指導
〇従業員の勤怠・シフト調整
3.構造・設備の管理
薬局に必要な構造、設備などは「薬局等構造設備規則」に定められています。
薬局の設備に何らかの問題が生じた場合は開設者へ意見を述べ、関係業者へ修理等の依頼をする必要があります。
〇薬局内照度の基準
〇医薬品の陳列・設備の基準
〇冷暗貯蔵のための設備を有する
〇鍵のかかる貯蔵設備を有する
〇調剤に必要な設備・器具を備える など…
◆飛鳥薬局の管理薬剤師にインタビュー
管理薬剤師になった当時と現在の心境について聞きました。
私は管理薬剤師になって今年で5年目になります。
最初は管理薬剤師としてやるべきことや決定しなければならないことが多く、
自分に務まるのか不安がありました。しかし、業務内容を学んでいくことで、
不安は小さくなっていきました。
今では新たな業務に取り組めることにとてもやりがいを感じています。
今後も円滑な店舗運営を行えるよう、診療報酬や関連法規を理解し、他職種や
従業員とのコミュニケーションを大切にしていきたいです。
(熊谷店 管理薬剤師)
◆その他にも…
ここまでは店舗内での管理業務をメインにお伝えしてきましたが、管理薬剤師が行うべきことはその他にもあります。
〇病院やクリニックとの関係構築
〇近隣薬局や地域薬剤師会との関係構築
〇ケアマネージャーや訪問看護師等の多職種との連携
〇保健所や厚生局など、行政に関する対応
今回は管理薬剤師が普段どのような仕事をしているのか簡単にご紹介させていただきました。
もっと詳しく管理薬剤師の仕事について聞いてみたい!と思った方は、ぜひこちらのインターンシップにご参加ください。
過去薬剤師国家試験問題の解答:105回【問337】2 98回【問313】2,5
コメントをお書きください