飛鳥薬局のホームページをご覧の方の中には、先日まで放送されていた病院薬剤師のドラマをご覧になった方も多いのではないかと思います。
病院と調剤薬局では仕事の内容に違いはありますが、それでもよく触れる薬が取り上げられ、私たちも見ていて思わず反応してしまったり、仕事中話題になったりするものもありました。
ドラマの中で、お子さんが粉薬を飲んでくれないというシーンがありました。
味やにおいから薬を嫌がるお子さんも少なくありません。
薬剤師や保護者の方が「元気になるために飲もうね」と言っても、まだ小さいお子さんではそれを理解することは難しいものです。
薬剤師はお子さんにどうしたら薬を飲んでもらえるか、薬剤や年齢・生活環境に応じて、臨機応変に伝えられなければなりません。
混ぜると苦い粉薬
ドラマでも挙げられていた「クラリスロマイシンドライシロップ」という薬は、お子さんがかかりやすい副鼻腔炎や中耳炎等の病気でよく使用されます。
この薬の原薬は、大人でも非常に苦くて飲めないほどですが、患者さんの手元に届くときにはコーティングが施され、甘味のフルーツ様の香りがするようになっています。
そのコーティングは普通に飲めば口の中では溶けず、胃の中に到達すると胃酸による酸性下で溶けるように設計されています。
そのため、基本的には水でそのまま服用できれば、決して飲みづらい薬ではありませんが、これをスポーツドリンクやオレンジジュース等の酸性の飲み物に混ぜてしまうと、折角のコーティングが溶けてしまい、強い苦みを感じてしまうのです。
また、飲み物にだけ注意すれば良い訳ではありません。
薬の中にも酸性のものがあるので、そういったものと一緒に混ぜてないことも重要です。
「カルボシステインドライシロップ」という去痰薬も上記のような疾患でよく使用されている薬ですが、実はこの薬は酸性製剤のため、一緒に混ぜてしまうとクラリスロマイシンのコーティングを溶かしてしまいます。
私たち薬剤師はこれらの薬が一緒に処方されたときは必ず別々に分包し、混ぜて飲まないように説明しています。
ハチミツは1歳を過ぎてから
ハチミツは栄養価も高く甘いので、それに混ぜて薬を飲ませる方法を取る方もいらっしゃいますが、ハチミツを使う際には注意しなければならない点があります。
それは1歳未満のお子さんにハチミツを使用してはならないということです。
ボツリヌス菌(C.botulinum)という土壌等に広く存在する細菌の芽胞がハチミツの中に含まれていることがあります。
芽胞とは休眠状態にある構造で、熱や乾燥・紫外線等に極めて高い抵抗性を持ち、通常の調理・加熱では生き抜く力があり、加工食品であっても芽胞が残っていることがあるため注意が必要です。
1歳未満のお子さんがボツリヌス菌の混入しているハチミツを摂取してしまうと、まだ腸内細菌が整っていないために
腸内でボツリヌス菌が増殖、ボツリヌス毒素が産生され、乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあります。
乳児ボツリヌス症:発症すると頑固な便秘、吸乳力の低下、弱い泣き声、運動麻痺症状が現れます。
2017年にそれによって赤ちゃんが亡くなってしまう痛ましいニュースもありました。
お母さんは子育て教室等で耳にする機会も多いかも知れませんが、お父さんやおじいちゃん、おばあちゃんにお子さんをみてもらう際には改めて伝えることも大切です。
薬学生の皆様へ
今回のテーマに挙げた内容は、製剤学や微生物学といった分野で聞いたことがあったのではないでしょうか。
座学ではイメージしづらいかも知れませんが、今学んでいることは将来あなたの前に立っている患者さんのためになる大切な知識なので、自身が薬剤師として活躍する姿を想像しながら、日夜勉強に励んでいってください。
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